放課後等デイサービスの開業を検討している他業種の経営者の方から、よく聞かれることがあります。
「既存の会社とは別に、新しく法人を作るべきですか?」
私自身、この問いについては開業前にかなり考えました。今回は、その時に考えたことを書きます。
同じ法人で始めるという選択肢
既存の会社の事業の一つとして放デイを始める。これは選択肢として十分にあり得ます。手続きの手間は減りますし、資金面でも既存事業の資金を使いやすくなります。
ただ、この選択には見えにくいリスクがあります。
「本業があるから」という逃げ道
同じ法人、同じ経営者の意識のまま放デイを始めると、どうしても「本業が忙しいから」という理由で、放デイの方が後回しになりやすくなります。
これは経営者本人が悪いわけではありません。人は、優先順位を無意識に決めてしまうものです。長年やってきた本業と、始めたばかりの新規事業。どちらに意識が向くかは、自然な話です。
ただ、放デイは「後回しにできる」事業ではありません。利用者である子どもたちがいて、保護者がいて、職員がいます。経営者の意識が分散したまま運営すると、その影響は現場に出ます。
覚悟の差が、結果の差になる
私が新しい法人を作ることを選んだ理由の一つは、「覚悟」の問題でした。
同じ法人でやると、放デイがうまくいかなくても、本業の収益でなんとかなってしまいます。これは一見、リスク分散に見えますが、実際には「逃げられる状態」を作ってしまいます。
新しい法人にすると、その事業の成功も失敗も、まるごと自分のものになります。この状態になって初めて、本気で向き合えるようになると感じました。
福祉は、本気で向き合っている事業所と、そうでない事業所の差が、利用者・保護者・職員に伝わりやすい業界です。覚悟の差は、思っている以上に結果に直結します。
保護者から見た「法人名」の意味
もう一つ、開業前に考えたのが、保護者からの見え方でした。
保護者は、施設を選ぶ際に法人名を調べることがあります。検索したときに、本業(建築業や別の業種)が前面に出てくる場合、保護者がどう感じるかは、想像しておく必要があります。
「なぜ建築業の会社が、福祉の事業をやっているのか」という疑問は、悪い印象につながることもあれば、特に気にされないこともあります。ただ、この点を考えずに進めるのと、考えた上で進めるのとでは、対応の準備が変わります。
信頼は一度築けば、保護者から保護者へ、自然に広がっていきます。逆に、最初の印象でつまずくと、その後ずっと「説明」が必要になります。
では、別法人にすれば全て解決するのか
もちろん、別法人にすれば自動的にうまくいくわけではありません。新しい法人を作ることで、手続きや管理は増えます。資金調達の方法も変わります。
ただ、私が経験した中で言えるのは、この「覚悟」と「ブランディング」の2点は、開業前に向き合っておくべき問題だということです。開業後に気づいても、簡単には変えられません。
どう判断するかは、経営者それぞれの状況によって変わります。本業の状況、資金面、目指す事業所の規模。これらを踏まえた上で、どちらが自分に合っているかを考える必要があります。
まとめ:法人形態は「覚悟の表明」でもある
別法人で始めるかどうかは、単なる手続き上の選択ではありません。経営者自身がその事業にどう向き合うか、保護者からどう見られるか。この2つに直結する判断です。
私自身は、福祉未経験から参入するにあたって、新しい法人を選びました。その判断が、開所後9ヶ月での黒字化、開所1年半での定員超えにどう繋がったか。詳しくは以下のPDFで解説しています。
福祉経験ゼロ。建築業から参入。
それでも開所後9ヶ月で黒字化。開所1年半で定員超えを実現した放デイ経営の記録。
開業前に何を設計するべきか。なぜ利用者が集まるのか。なぜ職員が辞めないのか。実際の経験をもとにまとめています。
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